一野古墳群
一野遺跡では、平成12年の発掘調査で、8基の円墳からなる「古墳群」が発見されました。いずれも墳丘は削平されていましたが、墳丘の周囲をめぐる周溝が残っており、「周溝を伴う古墳」の発見として、長崎県では初めての事例となりました。
周溝の直径は小さいもので約7m(6号墳)、最大で約14m(5号墳)の規模で、埋葬部や周溝の中で出土した遺物の年代から、4世紀末~5世紀末(古墳時代中期)にかけての古墳群であることが分かっています。
埋葬部(石室)は、古い方から箱式石棺、竪穴系石室、竪穴系横口式石室、横穴系石室、と多種のタイプが確認され、埋葬部の時期的な変遷を追えることもこの遺跡の特長です。
遺物では、副葬品として大刀や鉄鏃(鉄製の矢じり)、刀子(小刀)などが出土しています。また、周溝の中では、高坏や坏、壷など、古墳での祭祀に使われた土器が発見されています。もとは墳丘の裾部に供えられていたものと考えられ、古墳での祭祀の様子も推定できます。
一野古墳の南には、弥生時代の墳墓地でもある景華園遺跡が隣接し、弥生時代から古墳時代にかけての首長クラスの墳墓が北上していったことがうかがえます。